デジタルサイネージって専用ディスプレイじゃなきゃダメ?
近年、公共の交通機関や大型ショッピングセンター・百貨店、医療機関などはもちろん、一般の飲食店や小売店などでも、広くデジタルサイネージが導入されているケースを見かけるようになりました。
これまでの看板やポスターなどの媒体に比べ、情報をタイムリーに更新しやすく、時間帯や接する対象によってコンテンツを出し分けたり、省スペースでより美しく視認性の高い多彩な表現でアピールすることができたりと、一度活用を始めたら、そのメリットや効果の大きさに驚かれることの多いデジタルサイネージですが、やはりスタート時には初期費用の高さが問題となる場合は少なくありません。
とくに個人事業主や中小企業が、初めて導入するケースなどでは、できるだけコストを抑えたいのが実情ですね。デジタルサイネージの必要機器として、まず不可欠なものに映像を表示させるディスプレイがあります。
このディスプレイですが、デジタルサイネージ専用のタイプになると、かつてに比べれば安価になったものの、一般的なテレビディスプレイより高価で、思ったより値段が張ると感じられる価格が相場になっています。
しかし、セットトップボックス(STB)などプレーヤー機能を内蔵したものならいざ知らず、そうでないタイプの場合、一見したところ普通のディスプレイと変わらず、テレビでの代用も可能なように思われます。
目立った問題点もなく代替できるなら、よりコストを抑えられますから、そちらを選択したいと考えるのも当然です。そこで、デジタルサイネージの専用ディスプレイと汎用テレビのディスプレイは何が違うのか、代用することはできないのか、特徴を踏まえながら検証していくこととしましょう。
見た目は同じ画面、比較するとこんな違いが!
まず結論からいって、デジタルサイネージに一般的なテレビ向けとして販売されているディスプレイを用いても、再生表示させること自体は可能です。よって、STBや管理用PCと接続すれば、デジタルサイネージ化させることが不可能なわけではありません。しかし両者を比較していくと、実に多くの違いがあることも事実です。
第1に大きな違いがみられる点として、耐久性があります。テレビは、基本的に屋内で視聴したいときに映像や音声を出す目的で設計されているため、ほぼ1日中ONにするといった長時間の連続稼働は想定されておらず、デジタルサイネージ化した場合に痛みやすく、安定して運用できない可能性がデメリットとしてあります。せっかくの安さというメリットも、すぐに焼き付きなどを起こして壊れてしまうのでは、意味をなさなくなってしまうでしょう。
また液晶がむき出しになっているため、衝撃に弱く、通行人や物がぶつかったり、故意に力を加えられたりすると、容易に壊れてしまうという問題点もあります。
これに対し、サイネージの専用ディスプレイは耐久性、耐熱性に優れ、1日に何十時間といった長時間の利用にも対応できる設計がなされているので、安心して使い続けることが可能です。表面も強化ガラスによる保護がなされているものが大半であることから、多少の衝撃では壊れることがありません。
テレビディスプレイは高温・多湿環境を嫌い、水にも弱い性質がありますが、デジタルサイネージ向けの屋外対応タイプならば、防水仕様で雨風にもある程度耐えられるようにできています。直射日光による熱対策や、冬場の結露にも強い仕組みとなっているなど、多くのものが高い耐候性を有しているのです。
第2に見えやすさ、視認性の違いが挙げられます。専用ディスプレイとテレビでは、輝度のスペックに大きな差があるのです。テレビに使われる一般的なディスプレイの場合、100~500カンデラ、多くが300カンデラ程度です。
一方、デジタルサイネージ専用のディスプレイでは、テレビと同等程度の輝度水準のものから、2,500カンデラといった非常に高い輝度のものまで幅広いタイプが製造されています。
日中の強い日差しのもとにあると、スマートフォンなどモバイル端末の画面が見づらくなるといった経験は、誰しも思い当たるところがあるのではないでしょうか。輝度が不足すると、これと同じ現象が発生してしまう問題点があり、せっかくのコンテンツが見てもらえないという事態に陥りかねません。
そのため設置場所に太陽光が強く差し込む場合や、屋外設置の場合、ガラス越しに通行人へ見せたい場合などは、およそ700カンデラ以上の輝度が必要とされているため、専用ディスプレイでないと機能させることが難しいでしょう。
他にもあるこんな違い!事前によく考えて選択を
このようにデジタルサイネージ専用のディスプレイとテレビには、耐久性と視認性で大きな違いがあり、やはり運用面で専用ディスプレイが勝っている点が多く指摘できます。
この他にも、テレビディスプレイは横向きでしか使えませんが、専用ディスプレイは縦・横どちらでも利用可能で、マルチディスプレイとして複数枚を大きな1枚のディスプレイのように使った表示をさせるといったことも可能という特徴を持ちます。
さらにタッチ操作に対応し、双方向性のあるコンテンツの表示も可能としたり、遠隔での複数台一括管理に対応するシステムを搭載していたりと、ニーズに合った多彩な機能や性能を備えたバリエーションに富むのも専用ディスプレイならではでしょう。もちろん性能にこだわればその分、価格も高水準となりますから、費用対効果を考えて選択することが重要です。
まとめ
導入の目的や、利用方法によっては、テレビをサイネージのディスプレイに代用するのも問題はありません。コストが抑えられることを考えると、それがベストな選択である場合も充分にあります。
しかし、コストが発生するだけのメリットが、専用のディスプレイにはあります。コストを抑えることだけに注目するのではなく、コストが発生するだけのメリット、価値を考え、長期的にどちらが有効なのかを考えると、やはりデジタルサイネージ専用のディスプレイをオススメします。
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