USBとは何か?
いまや当たり前のように口にされるところとなった「USB」というワードですが、そもそもそれが何であるかを正しく回答できる方は、さほど多くないのではないでしょうか。そこで、あらためてこの語句定義から確認しておきましょう。
USBとは「Universal Serial Bus」の頭文字をとったもので、コンピューターに周辺機器を接続するための規格として生み出されたものの一つです。
かつては接続する機器ごとに独自の端子が採用され、それぞれに応じたポートやケーブルを用意しなければなりませんでした。しかし、それではあまりに不便で拡張性に欠きます。
そこで、統一的な使用に基づくことでどんな機器にも対応可能とした(Universal)、データの直列送信(Serial)方式をとる、複数デバイスの同時接続もOKなバス(Bus)として、USBが誕生したのです。
USBを通じて、デバイスを動作させるための電力を供給することも可能になり、抜き差しもごく簡単と、誰でも使える手軽さ、利便性の高さから、現在のようなあらゆる端末、記憶媒体、デジタル家電でのUSBポート搭載がみられる状況が導かれています。
USBの種類とその形状、違い
こうした統一規格として生み出され、数々の恩恵をもたらしてきたUSBですが、普及と進化の過程で端子の形状の違いやバージョンの違いなど、種類の違う数多くのタイプが市場に存在することともなりました。
これが、混乱とトラブルの元になっていると言えるでしょう。そこで知っておきたい主なタイプを整理しておきます。
まず「USB Type-A」と呼ばれるものがあります。これはフルサイズの最も標準的USBコネクターとなっているタイプで、約5ミリ×約12ミリの長方形をしています。USBの登場初期からあるもので、主にPCと接続する際に用います。
「USB Type-B」と呼ばれるタイプは、約8ミリ×約8ミリと正方形に近い細身のコネクターで、スキャナやプリンター、オーディオ関連などの周辺機器によくみられます。
最も新しい「USB Type-C」は、約8.4ミリ×約2.6ミリの長楕円形をしたコネクターで、上下左右が対称形になっており、向きを確認する必要がなく、差し込みさえすれば接続させられる点に最大の特徴があります。
最新のノートPCやタブレット、スマートフォンに搭載され、データの転送速度の速さや汎用性の高さが魅力です。オルタネートモードという機能により、これまでは非対応だったHDMIやThunderbolt、DisplayPortといった規格の信号も流せ、マルチに活躍するタイプであることから、今後の主流になる可能性も高いと考えられています。
これらより小型のタイプには「Mini USB」と呼ばれるものがあります。デジタルカメラやモバイルバッテリーなどを中心に採用され、台形の形状が特徴です。
PCに接続する「Mini USB Type-A」、周辺機器接続用の「Mini USB Type-B」、周辺機器同士の接続を叶える「Mini USB Type-AB」の3種類があり、最も普及しているのは「Mini USB Type-B」ですね。ケーブルとして、反対側にフルサイズの「USB Type-A」を採用しているものが多く出回っています。
この「Mini USB」より、さらにひとまわり小型となったのが「micro USB」です。現在、フルサイズ標準型の「USB Type-A」に次ぐ高いシェアを誇るとみられており、「Mini USB」と同様に「micro USB Type-A」、「micro USB Type-B」、「micro USB Type-AB」の3種類があります。このうち大半を占めるのが「micro USB Type-B」で、Androidタブレット/スマートフォンでおなじみのものです。
世代って何?
USBには形状として、見た目に違いの分かる種別のほか、機能面の進化によるバージョン(世代)の違いもあります。形状は同じでも、このバージョンが異なっているケースがあり、バージョンが違うとデータの転送速度が違います。
最も初期に登場したUSB 1.0のバージョンから、USB 1.1、USB 2.0、USB 3.0、USB 3.1、USB 3.2までがあり、現在はおよそUSB 2.0以降のものが主流になっています。
この2000年に定義されたUSB 2.0は最大480Mbpsの転送速度で、あまり速度が出ませんが、最も高速で2017年に定義されたUSB 3.2は最大20Gbpsの転送速度を可能としています。こうして比較すると、実に大きな差があることが分かるでしょう。
充電、電源供給の側面からみても、バージョンによる進化があり、USB 2.0では2.5Wだったところ、USB 3.0では4.5Wにまで増加しています。
注意したいのは、端子の形状・タイプとバージョンは対応するものでなく、別概念になるということです。そして、データ転送速度に関しては、下位互換がなされる仕組みとなっているため、いくらUSB 3.1といったタイプを用いても、ポートがUSB 2.0であれば、転送速度はUSB 2.0の480Mbpsになります。
最新端末を導入しているのに、古い規格のケーブルを間違って購入してしまった場合、転送速度において本来の性能を発揮できなかったり、供給電力が不足してうまく充電できなかったりといったことになりかねません。
規格が標準化される前に製造されたものが出回っているケースもあり、よく確認しないまま、安易に購入・利用するとトラブルにつながります。USBについては形状とバージョンの対応をよく確認し、最適なものを正規に購入するようにしてください。
まとめ
いかがでしたか。分かっているつもりでも知らないことばかりだった、USBの世界は奥深かったと感じられた方も多いのではないでしょうか。
スマート端末を賢く使いこなすには、USBの知識がとても重要になります。今回ご紹介した基礎知識をしっかり身につけておけば、充電を目的とするケーブル選びから、データ転送のシーンまで、間違いのない選択が行えるでしょう。
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